G4-1 X線小角散乱などの実験データと分子動力学シミュレーションの連携研究

構造生物学実験と連携しつつ、スーパーコンピュータ等を利用した分子動力学シミュレーションの支援研究

[1] 支援担当者

[2] 支援技術の概要

下記のようなケースについて、X線小角散乱（SAXS）やNMRなどの構造生物学実験と連携しつつ、スーパーコンピュータ等を利用した分子動力学シミュレーションの支援研究を行う。

• 溶液構造（結晶構造と異なる）のモデリング
• 分子モーター等の立体構造変化過程
• 他のリガンドの結合構造や非結合型構造のモデリング
• ディスオーダー領域を含むタンパク質のアンサンブル構造
• 部分ドメイン構造から、全長のタンパク質の構造モデリング
• リガンド結合による構造変化を誘起、アロステリック効果
• 結合サイトのダイナミクス、リガンドの結合能や選択性の予測
• タンパク質間相互作用のホットスポットの特定
• 機能性タンパク質のアミノ酸変異の設計

[3] 支援技術の利用例

• 多剤排出トランスポーターAcrBのX線結晶構造をもとに、その機能発現時の動的な構造変化を分子動力学シミュレーションにより解析。
• ビタミンD受容体リガンド結合ドメインについて、X線小角散乱実験のデータをもとに、分子動力学シミュレーションにより、その溶液構造を解析。
• ヘテロクロマチン形成因子HP1クロモドメインのヒストンテイル認識について、非常に柔軟なディスオーダー領域を含む構造アンサンブルを、分子動力学シミュレーションにより解析。

[4] 支援担当者の研究概要

スーパーコンピュータを活用し、タンパク質などの生体分子が機能を発現している際の動的構造について、分子動力学シミュレーションによる研究を行っている。X線結晶構造解析などで得られる構造はスナップショットであり、そのタンパク質が実際に働いている際には、動的に構造変化しつつ機能を果たしていることが多い。そのような動的な構造変化について、物理化学的相互作用に基づいた分子動力学シミュレーションを用いて解析している。さらには、分子動力学シミュレーションとX線小角散乱（SAXS）やNMRなどの構造生物学実験との連携により、溶液状態のタンパク質の構造解析を行っている。