慢性疼痛モデルマウスの作製と薬効評価、慢性掻痒モデルの作製と薬効評価
慢性疼痛・掻痒モデルマウスの作製と薬効評価 慢性疼痛モデルラット:神経障害性疼痛モデルラット(第5腰髄切断モデル)を作製し、同モデルが呈するアロディニアへの薬効を評価する。 慢性掻痒モデルマウス:アトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスを使用し、同モデルが呈する引掻き行動への薬効を評価する。
慢性疼痛・掻痒モデル動物の作製と薬効解析 神経障害性疼痛やアトピー性皮膚炎などを対象とした既承認薬の適応拡大(エコファーマ)研究及び創薬研究。 [References] J Allergy Clin Immunol 143(3): 1252-1254 (2019) eNeuro 5(1). pii: ENEURO.0450-17.2018 (2018) Nat Rev Neurosci 19: 138-152 (2018) Nature Commun 7: 12529 (2016) Nature Med 21: 927-931 (2015) Nature Commun 5: 3771 (2014) Cell Rep 1: 334-340 (2012) PNAS 106: 8032-8037 (2009) Nature 438: 1017-1021 (2005) Nature 424: 778-783 (2003)
神経の障害や機能不全により、既存の鎮痛薬に抵抗性を示す神経障害性疼痛が発症する。その発症維持メカニズムは依然として不明であるため、有効な治療薬の開発も遅れているのが現状である。我々は、脊髄後角で活性化したミクログリアに高発現するATP受容体P2X4Rに注目して研究を進め、神経障害後のアロディニアにグリア-ニューロン相互連関が関与していることを明らかにした。
一方、アトピー性皮膚炎等に伴う慢性的な痒みは、抗ヒスタミン薬など既存薬が十分に効かないため、メカニズムの解明と新規治療薬の開発が重要な課題となっている。我々は痒み研究の視点を神経系に向け、慢性掻痒モデルマウスの脊髄後角でアストロサイトが活性化し痒みの慢性化に必要であることを見いだした。この成果は、アトピー性皮膚炎等による痒みの慢性化メカニズムに中枢神経系の機能変化が関与していることを示しており、新しい創薬標的となり得る可能性が考えられる。