有機ニトロキシルラジカル触媒のアルコール酸化反応を用いた化学修飾・誘導体化、エポキシドの触媒的位置選択的開環を鍵とする精密合成
【高化学選択的アルコール選択的酸化反応を基点とした精密化学修飾】 アルコールの酸化反応は、アルデヒド、ケトン、カルボン酸等、合成化学的に有用なカルボニル化合物を合成する基本反応として汎用されるが、アミンやスルフィドなど、酸化条件下に脆弱な官能基を含むアルコールの酸化は、既存技術では困難とされ、カルボニル化合物への変換を基点とした官能基変換や誘導体化は回避されてきた。当研究室では、最近、有機ニトロキシルラジカルと銅イオンの協奏触媒により、アミノアルコール類や含硫黄アルコール類をアルコール選択的に酸化して対応するカルボニル化合物を与える反応システムを開発することに成功している。当該事業においては、アルコールからカルボニル化合物への高効率変換を基点とした精密化学修飾と誘導体化に関する技術を提供する。
【高位置選択的エポキシ開環反応を基点とした立体異性体の網羅合成】 生物活性化合物には、複数の極性官能基が密に配置したキラル構造単位を有するものが多く知られ、構造活性相関解明や活性増強という観点から、しばしばその立体異性体の精密構築と周辺誘導体の合成が求められる。当研究室では、Ln(OTf)3を触媒として、2,3-および3,4-エポキシアルコールへの3位および4位選択的求核開環反応を開発した。当該事業においては、本触媒反応に基づく連続不斉中心の構築に関する技術を提供する。
支援担当者の研究室は、触媒制御に基づく高選択的有機合成手法の開発、生物活性化合物の立体制御合成、合成小分子を用いたケミカルバイオロジーを3つの柱として創薬科学、生命科学の発展に資する基礎研究を行っている。