人工染色体技術を用いて開発したヒト化マウス/ラットおよび多機能細胞の提供、それらを用いた創薬支援
ヒト化動物は、薬物代謝酵素誘導剤によるヒト特異的な遺伝子発現変化のみならず、それに伴う被代謝物の血中動態に関して、ヒトを再現することが可能である。図はヒト化CYP3A/PXRマウスを用いた薬物代謝酵素誘導試験の結果を示す。
種差を克服したヒト化動物は、ヒト特異的な薬物動態を予測する上で、あるいはヒト抗体医薬品シーズを作製する上で大きな役割を果たすと考えられる。 しかし、多くの遺伝子は群(>数100kb)を形成し、従来技術では全長搭載することがきわめて困難であった。 それを背景に、我々は独自に開発した人工染色体ベクターを利用し、これまでに様々な完全長遺伝子導入ヒト化マウス/ラットの作製に成功してきた(ヒト化薬物動態モデル動物、完全ヒト抗体産生動物)。一方で、動物モデルのみではなく、人工染色体を用いて、毒性・薬物相互作用をハイスループット評価可能で医薬品開発初期から利用可能な高性能、多機能細胞の作製にも成功してきた。本研究では「動物モデル」および「細胞モデル」の2つの側面から、人工染色体技術を用いた薬物動態・毒性試験モデル・完全ヒト抗体産生動物の作製・改良、およびそれらを利用した薬物動態・毒性試験・ヒト抗体シーズ取得を支援する。