様々な電顕を用いた分子複合体や細胞小器官の3次元構造解析、試料作製および構造解析の支援
所属 | ①東京大学 大学院医学系研究科 ②東京大学 大学院理学系研究科 ③理化学研究所 生命機能科学研究センター |
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氏名 | ①吉川 雅英、中村 一彦、Radostin Danev、福田 善之、柳澤 春明、坂巻 陽一、古屋 俊江 ②濡木 理、草木迫 司、志甫谷 渉、木瀬 孔明 ③山形 敦史、横山 武司 |
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AMED 事業 |
ユニット/領域名 課題名 |
構造解析ユニット(構造解析領域) クライオ電顕による細胞内ネイティブ複合体構造解析 |
代表機関 代表者 |
東京大学 吉川 雅英 |
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支援技術のキーワード | クライオ電子顕微鏡、単粒子解析、構造多型解析、細胞構造解析、試料調製 |
クライオ電子顕微鏡を用いたたんぱく質の構造解析や細胞内小器官の構造解析の支援を行っている。主に電子顕微鏡のハードウエアの取り扱いを中心にトレーニングを行った技術員が観察をサポートし、スタッフを含む研究員が単粒子解析を希望する利用者から試料を受け入れ、試料作成とデータ収集、解析などを支援している。支援の際には、BFAYOS (Bring, Freeze, and Analyze Your Own Sample)のコンセプトに従い、基本的には利用者自身、あるいは利用者の立会いのもとに技術員が支援を行っている。得られた情報は直接利用者にフィードバックしており、ネガティブ染色によるスクリーニング、凍結グリッドの作製条件の探索、大規模なデータ収集などが行われている。データ解析環境としては東京大学のスーパーコンピュータ上にクライオ電顕の解析のためのソフトウェアが整備され、利用者が外部から解析できるようにしている。
また、3次元構造解析のためクライオ電子線トモグラフィーの支援を行っている。トモグラフィーについても、新規導入された電子顕微鏡(Titan Krios)がデータ収集の効率化・高解像度化に大きく貢献している。
この分野への理解を深めてもらうため、ワークショップを毎年、開催しており、トモグラフィーなどをテーマに基本的な原理や試料作製方法、解析事例などを紹介し、研究者のすそ野を広げている。
クライオ電子顕微鏡は共用設備として学内外に開放されており、利用についてはWeb(http://structure.m.u-tokyo.ac.jp/emfacility)を参照していただきたい。
ネガティブ染色法による構造解析やクライオ電子顕微鏡を用いた膜タンパク質、筋肉フィラメント、繊毛、クロマチンなどの構造解析が行われており、2018年度は32課題の利用実績があった。研究途上のため、すべての結果を公開することはできないが、論文発表が行われた例を紹介する。
東大・院・医学系研究科・吉川研
クライオ電子線トモグラフィーと遺伝学を用いた標識法を開発してきた。この方法を一般化し、より多くの細胞内小器官で分子の働きを3次元で可視化。
東大・院・理学系研究科・濡木研
膜タンパク質のクライオ電顕・単粒子解析用の試料調製を、膜タンパク質の取り扱いに精通した濡木研究室が支援。
理研・ライフサイエンス技術基盤研究センター・横山グループ
リボソームやRNAポリメラーゼなど、ダイナミックな構造をもつ核酸-タンパク質複合体の構造を解析している。大規模なデータ収集を行い、構造多型解析の実績がある。
クライオ電顕のオープンコースウェア・ワークショップ
クライオ電顕技術になじみのない研究者・学生に対し、インターネットを使った講義シリーズを開講する。また、実地での経験を積むためのワークショップも開催する。