マウス/ラットを用いた創薬候補物質の薬物動態・薬理評価・安全性評価、ヒト肝マウスを用いた薬物代謝測定
①通常のマウス/ラットを用いて候補物質の薬物動態(PK)、薬効、安全性評価を高感度微量解析装置を用いて行う。 ②独自に開発したTK-NOGヒト肝キメラマウス、当該マウスから単離した肝細胞(Hu-Liver cell)を用いてPK, 薬効、安全性評価を行う。 ③ヒト化肝キメラマウスで残存するマウス由来CytochromP450酸化還元酵素遺伝子(Por)欠損マウスを作製し、PK解析、薬物代謝の特性評価を行う。 ④担がんマウスモデル(転移モデルを含む)を用いた抗がん剤評価に加え、ヒト化免疫PDXマウスを用いた免疫チェックポイント阻害/分子標的候補薬の薬効、安全性評価を行う。 ⑤ヒトI型アレルギーモデルによる、抗アレルギー薬候補物質の薬効評価を行う。
①通常のマウス/ラットおよびヒト肝の薬物代謝を外挿し得るヒト肝キメラマウスを用いた創薬候補物質のPK,薬効、安全評価を行い、臨床試験とのPOCに近づける。 ②ヒト肝キメラマウス由来肝細胞(Hu-Liver cell)を用いて候補物質のスクリーニングを行う。 ③ヒト肝キメラマウスに改良を加え、残存するマウス薬物代謝酵素を喪失させる。 ④ヒト化免疫マウスによって確立したヒト疾患モデルを用いてヒト疾患に効果があり、安全性の高い創薬候補物質を選別する。
公益財団法人 実験動物中央研究所(実中研)は設立以来60余年に亘って、ポリオワクチン安全性試験に使われるポリオマウス(Tg-PVRマウス)、短期発がん試験に有用なrasH2マウスなどWHO,FDAを含む機関から国際標準として認められる数々の実験動物を開発してきた。 最近では重度免疫不全マウスであるNOGマウスを開発し、これらに遺伝子改変を加えることによって多種の改良型NOGマウスを作製している。今回の支援で用いるTK-NOGヒト肝キメラマウスのほか、ヒトサイトカインや血球増殖因子遺伝子を導入したマウスにヒト造血幹細胞を移入したヒト化免疫マウスは多くの研究機関、企業から創薬開発にその有用性を高く評価されている。中でも、NOGマウスにIL3およびヒトGM-CSFを遺伝子導入したNOG-hIL-3/GM-CSF Tgマウスに造血幹細胞を移入すると各種ヒト白血球が分化し、ヒトI型アレルギーである喘息や食物アレルギーのモデルを作製することができる。また、このマウスにPDXを移植して免疫チェックポイント阻害候補薬を投与し、その消長を解析することでその薬効を評価できる。実中研ではこのような新規実験動物の開発とともに、これらユニークな動物を必要数揃えるための生産グループも有しており、研究、開発、生産、受託をワンストップで実施可能である。 このように本グループではNOGマウスを基盤としてヒトへの外挿性の高い実験動物を用いることによってアカデミアで見いだされた創薬候補物質の非臨床試験と臨床試験のPOCを可能な限り一致させるための支援を行う。