非凍結状態での回折実験、抗凍結剤の影響を低減した結晶凍結
構造ダイナミクス解明に向けた構造多様性解析の実現に向けて、温湿度制御による生理活性条件での活性構造解析、SACLAと連携した生理活性条件での測定用条件スクリーニングの支援を行う手法・装置を提供する。 ・非凍結状態での回折実験を実現する手法 タンパク質結晶は、水溶性高分子によりコーティングし、湿度制御する(Humid Air and Glue coating method:HAG法)ことで、非凍結状態で安定に質を保持した回折実験が実現できる[1]。 さらに、HAG法でマウントした結晶は、抗凍結剤の影響を低減した凍結操作も可能である。
利用例1 Rasタンパク質は、細胞のがん化に関連して、その構造と機能の研究が進められている。 その一種であるH-Rasは、HAG法でマウントし湿度制御することにより、結晶内で構造変化が誘導された。この結果、下流シグナル伝達タンパク質と結合するスイッチ領域が開いた構造の解析が可能となった[2]。
生理活性条件(室温など)のタンパク質から多様な状態の構造解析を行うために、手法・装置の開発を進めている。現在は、右に示す装置が利用可能である。さらに、以下の研究開発を行っている。 ・温度制御調湿条件下での精密高速データ収集 より高精度での温度・湿度制御が可能となる調温調湿装置、より安定な温度環境を実現する温度制御ハンドリングワークベンチの高性能化を進めると供に、測定の自動化、高速化に向けた開発も進めている。