B3-4 NMR生体分子構造相互作用解析

タンパク質間相互作用解析、タンパク質リガンド相互作用解析、タンパク質動態解析

[1] 支援担当者

[2] 支援技術の概要

• 超高磁場NMR装置群による高感度・高分解能な立体構造・分子間相互作用・動的ダイナミクスの解析：国内最高感度を誇る溶液950MHzおよび固体700MHz NMR装置をはじめ、幅広い磁場強度の先端的・高感度NMR装置のラインナップで生体分子の構造解析・動態解析ならびに相互作用解析等を支援する。

• 最適な安定同位体標識法によるNMR解析：目的タンパク質中の特定の原子にのみ安定同位体標識を施す先端的NMR技術であるSAIL法により、高分子量・高難度タンパク質のNMR解析を支援する。
• NMRによるタンパク質構造の高速自動構造決定：NMRスペクトルの帰属から立体構造解析までをパイプライン化・自動化した技術（Deep-MagRO：阪大独自で開発）により、目的タンパク質の立体構造解析を支援する。

• ¹⁹F化合物ライブラリーによる効率的・スループットなリガンドスクリーニングNMR：60検体オートサンプラーを装備した溶液400MHz NMR装置と、当グループが独自に開発した¹⁹F標識フラグメント化合物ライブラリーを用いて、目的タンパク質に結合する未知化合物のスループット探索を¹⁹F NMR実験にて支援する。
• In-cell NMR法による細胞内タンパク質のNMR解析：大腸菌、酵母、哺乳動物細胞等の生きた細胞内における目的タンパク質の立体構造および分子間相互作用のNMR解析を支援する。

• 溶媒の自動還流システムによるリアルタイム溶液NMR観測：InsightMR/Cell (Bruker) システムを搭載した溶液NMR装置を用いて、化学反応、蛋白質-薬剤の相互作用、in-cell NMR実験との技術融合による細胞応答や代謝のリアルタイムNMR観測とその解析を支援する。


• 新たなNMR測定技術を利用した蛋白質の動的多型構造の解析：溶液NMR法では、弱い相互作用に伴う過渡的複合体や、多型構造間の動態を定量的に観測することが出来る。圧力可変装置や試料攪拌装置を取り入れた新しいNMR測定（高圧NMR, Rheology NMR）を行うことで、これら準安定構造の高感度観測ならびに多型構造間の動態解析を支援する。
• 高磁場極低温DNP法による超高感度固体NMR解析：高磁場DNPでは、高磁場で核スピンと同時に電子スピンを共鳴させてNMRの感度を約1000倍向上させられる。この方法で微量試料や高分子量タンパク質、天然存在比の生体試料について、構造や相互作用の解析を支援する。

• 超高速マジック角試料回転法による高分解能高感度¹H-NMR解析：生体試料を50kHz以上で回転させることにより，1mg以下の固体状態の試料についてこれまで測定が難しかった¹H-NMRを高感度に測定できるようにする。この方法で、¹³C,¹⁵N-NMRを¹H-NMRを通じて高感度に測定して、生体分子の構造と相互作用解析を支援する。

[3] 支援技術の利用例

• タンパク質間相互作用解析：膜タンパク質を脂質二重膜に再構成したnanodiscの性状を³¹P NMRで確認し、可溶性タンパク質リガンドとの相互作用部位を超高磁場溶液NMR解析により同定した。
• タンパク質リガンド相互作用解析：マラリア感染に関わるタンパク質の溶液NMR構造決定、¹⁹F化合物スクリーニングNMR実験による新規リガンド化合物の同定、溶液NMR実験によるタンパク質-新規リガンド化合物間相互作用部位および結合親和性の同定を、約1週間で達成した。
• SAIL法による高難度タンパク質のNMR解析：通常ではNMR解析が困難な高分子量タンパク質、膜タンパク質、抗体などにオーダーメイドで目的の部位に安定同位体標識を施し、相互作用領域の特定ならびに相互作用に伴うアミノ酸残基側鎖の動態変化を解析した。
• タンパク質の立体構造解析：遺伝病発症を引き起こす変異体タンパク質の立体構造解析を網羅的に行った。


• 固体NMRを用いたタンパク質相互作用および構造解析：膜タンパク質Nav1.4とアゴニストとの相互作用部位解析を行った。膜タンパク質pHtrIIの膜貫通領域のタンパク質間相互作用。膜ペプチドMPXと脂質膜との相互作用部位決定。βIIミクログロブリンのアミロイド構造の解析を行った。

[4] 支援担当者の研究概要

上記の支援の概要および利用例に加えて、次のような研究開発に取り組んでいる。