PDBとBMRB及び独自の二次データベースを活用した構造解析支援、画像データと計算のセキュアなアーカイビング
所属 | ①大阪大学 蛋白質研究所 | |
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氏名 | ①栗栖 源嗣、川端 猛、Gert-Jan Bekker、横地 政志 | |
AMED 事業 |
ユニット/領域名 課題名 |
プラットフォーム機能最適化ユニット 創薬等ライフサイエンス研究を促進する研究支援とデータサイエンス |
代表機関 代表者 |
大阪大学 栗栖 源嗣 |
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支援技術のキーワード | EMDB、MD計算、PDB、BMRB、ホモロジーモデリング |
Protein Data Bank Japan (PDBj)の運営実績と経験をベースに、電子顕微鏡画像および分子動力学計算やホモロジーモデリングの計算結果をアーカイブするサイトを運営する(https://empiar.pdbj.org およびhttps://bsma.pdbj.org)。並行して、運営管理をおこなっているProtein Data Bank(PDB)およびBioMagResBank(BMRB)、さらに関連する二次データベースやツール群を活用した構造解析を支援する。支援に供する基盤技術は以下の通りである。
データベース運営、生物情報科学、MD計算、生体NMR構造解析の経験と実績から、以下のような技術利用例がある。
結晶構造解析、NMR分光法、クライオ電子顕微鏡構造解析の3手法により構造決定された生体高分子の原子座標は、付随する実験データとともに大阪大学蛋白質研究所が運営するPDBj (Protein Data Bank Japan:大阪大学に措置された共同利用・共同研究拠点経費及びJSTのライフサイエンスデータベース統合化推進プログラムによって支援)が、国際組織wwPDB(worldwide PDB: http://wwpdb.org/)のメンバーとしてPDBにアーカイブしており、本ユニットでもPDBjと連携してデータ登録を支援する。
原子座標を伴わないクライオ電子顕微鏡法によるポテンシャルマップとNMR分光法によるスペクトルデータについても、大阪大学蛋白質研究所が運営するPDBjがwwPDBの基準に従ってEMDB(Electron Microscopy Data Bank)およびBMRB(BioMagResBank)にアーカイブしており、本ユニットでもPDBjと連携してデータ登録を支援する。
クライオ電子顕微鏡画像データを蓄積する試みはEMPIAR(Electron Microscopy Public Image Archive: https://www.ebi.ac.uk/pdbe/emdb/empiar/)としてEBI(欧州バイオインフォマティクス研究所)において開始されたが、国際的に連携した運用はされていなかった。本ユニットでは、EBIと学術交流協定を締結し2018年からEMPIAR-PDBjとしてデータの公開を開始した(https://empiar.pdbj.org)。大容量のEMPIARの画像データを多国間で頻繁にデータ交換することは現実的でないため、大阪大学サイバーメディアセンター及び早稲田大学との連携によって、日本で開発されたCold storage技術を活用して国内にバックアップサイトを立ち上げセキュアなデータ保存体制を確立している。
NMRの化学シフト情報が蓄積されているBMRBを活用し、NMRスペクトルからの自動的なピーク・ピッキングとAI技術による自動アサインメント、distance geometry計算まで含めたパイプラインが阪大蛋白研のPDBj-BMRBにおいてすでに構築されており、その仕組みを用いてNMR研究者の構造決定をサポートする。
大阪大学でこれまでに開発・公開しているタンパク質構造データベース関連ツールを活用し、巨大分子のWeb上での可視化技術(Molmil)、電子顕微鏡による構造 データのブラウザ(EM navigator)、分子の形についてPDBとEMDBを横断的に検索 するサービス(Omokage search)、複合体立体構造の検索・モデリングのサーバ(HOMCOS)、のサービスに加えて、総合的な電子顕微鏡による構造データベースとして本事業への支援とする一方、本事業の成果の一般社会への公開・発信を行う。