海洋微生物抽出物ライブラリーを用いたスクリーニング支援、ヒット抽出物からの活性成分の単離・同定
長崎大学独自の海洋微生物抽出物ライブラリーの提供。 スクリーニング結果に応じて抽出物の再提供、再調製を行い、最終的にはヒット抽出物の大量調製から活性成分の単離・同定までを支援。
長崎大学では、長崎県の豊富な海洋資源を創薬に活用することを目的に、大学オリジナルの海洋微生物抽出物ライブラリーの構築を進めている。我が国で最も島嶼の多い長崎県は、本土側にも複雑な海岸線を多く有し、その総延長は北海道について全国第2位である。それは海洋生物の多様性が高いことを物語っており、広いケミカルスペースを持つ天然化合物の源泉が豊富に存在することを意味している。 県内各地から収集してきた様々な海洋動物や海藻などのサンプルを細断し、海水寒天培地上に静置しておくことで、それらに付着したり、共生したりしている様々な微生物を比較的容易に単離することができる。それらをさらに液体培養し、様々な天然化合物を含み、かつ創薬スクリーニングに適した性状になるように抽出物を調製する。長崎大学では、過去2度にわたって県内で海洋微生物の大規模なサンプリングを行い、1万8千種類を越える微生物を単離し、保存している。その保存株を順次、再培養して抽出物を調製するとともに、本学海洋未来イノベーション機構や水産・環境科学総合研究科などの協力の下、新たな微生物の収集活動も行っている。 2021年3月現在、540種の抽出物を提供しているが、今後も拡充していく予定である。ヒット抽出物産生微生物の大量培養ならびに大量調製については北里大学岩月グループと連携しながら進め、活性成分の単離・同定については長崎大学薬学部の天然物化学系、合成化学系研究室が中心となって支援を行う。