高難度タンパク質の動物細胞発現系を用いた高品質組換え生産と精製
☆超迅速構造解析支援の例(糖転移酵素X) day 1 メールにて打診、コンサルテーション day 3 DNA受領、コンストラクトデザイン開始 day 20 発現テスト開始、最適化 day 50 スケールアップ、PAタグ精製 day 58 結晶化スクリーニング day 68 2Aデータセット取得、S-SADデータ取得 day 98 位相決定、モデル構築終了 (このうち、生産と精製に要したのは10日間!)
当研究グループでは、「生体膜」近傍での生物学的現象を蛋白質構造化学の目で切り取り、生物学研究の新たなステージを切り開くため、最新の構造生物学的手法を駆使した研究を行っている。細胞は外からの刺激を受容してその情報を細胞内で処理し、外的環境にたいしてどう対処するかを決定するが、ここで対象とするのは、ヒトの疾患に関わる種々の膜蛋白質、特に、脳・神経系で働く受容体やシナプス構成因子、神経細胞死や軸索ガイダンスに関わる分子、生物の発生や形態形成に関わるシグナル分子などの蛋白質である。レセプターが細胞外でその特異的パートナー(リガンド)と結合する際に起こる構造上の変化を「可視化」することが求められるが、そのために用いる構造生物学の手法はX線結晶構造解析と電子顕微鏡イメージングである。それらに用いるタンパク質試料の調製(発現と精製)や、巨大で不安定な複合体を結晶化する技術にはまだ改良の必要な点が数多くある。たとえばヒトを含む高等生物の細胞外リガンドやその受容体は組み替え発現・精製が困難で有り、既存の生産システムに依存していては、国際的な競争に勝つことができない。そこで、困難な組み替えタンパク質の「生産」を、動物細胞培養系の高度化、新しいアフィニティタグシステムの開発、発現法の改良・開発、などを通して確立することを目指している。本事業では、それらのノウハウと独自技術を結集し、外部研究者が構造・機能解析に供するための「高難度創薬ターゲット蛋白質」の生産を支援する。