ハイスループットスクリーニング機器の技術支援、アッセイ系構築支援
難治性疾患に対する創薬育薬を目指したスクリーニング支援 九州大学薬学研究院「グリーンファルマ研究所」のスクリーニング特化フロアに設置された多様なハイスループットスクリーニング(HTS)機器を利用
既承認薬ライブラリー及び21万化合物ライブラリーを利用したスクリーニングの実施 自動分注機であるBiomek NXPと多様なHTS機器を用いることで、学内外合わせて60件以上のスクリーニング支援を実施した。 イオンチャネル及びGPCRを標的としたカルシウムイメージング法 難治性疾患に関与するイオンチャネルやGPCRの機能を阻害する化合物の探索を目的に、FDSS7000EXを利用したカルシウムイメージング法にて実施可能。 抗がん薬による神経ダメージを保護する既承認医薬品の探索 抗がん薬であるオキサリプラチンによる末梢神経障害に対する予防薬の探索を目的に、IN Cell Analyzer 2000および既存薬ライブラリーを利用して、神経細胞に対するオキサリプラチンの神経傷害への影響を評価した結果、神経障害を抑える有用な既承認薬を発見した。 [Reference] PLoS One 11: e0165189 (2016) Yakugaku Zasshi 138:1027-1031 (2018) Int. J. cancer (2018) doi:10.1002/ijc.32043
九州大学薬学研究院では既存の承認薬の適応拡大(育薬エコファーマ)と、地球環境にやさしい薬の合成(グリーンケミストリー)を融合させた「グリーンファルマ」を推進している。 具体的な実施例として、我々は難治性の慢性疼痛疾患である神経障害性疼痛の治療薬を探索する目的で、既承認薬ライブラリーによるスクリーニングから神経障害性疼痛に深く関与するイオンチャネル型ATP受容体P2X4受容体の機能を強力に阻害する抗うつ薬デュロキセチンの発見に成功した(下図)。そしてデュロキセチンがミクログリアに発現するP2X4受容体やヒトP2X4受容体に対しても阻害作用を示すこと、また神経障害性疼痛モデル動物に対して効果を発揮することを明らかにした。さらに、デュロキセチンの構造式をベースに、高活性・高選択性をもつ新規化合物の創製研究を行っている(グリーンファルマ研究)。他にも学内外から多くのヒット化合物の同定に成功し、着実に創薬に結び付ける研究成果が進展している。 このような経験をもとに、アンメットニーズの高い難治性疾患を対象とした創薬及び育薬に関する最先端技術の研究開発を通じて、独創的なアカデミア創薬開発を目指す。