化合物のin vivo投与による安全性試験支援
創製される開発候補化合物の有用性を評価する上で、実験動物を用いた安全性試験はそれに続く人を対象とした臨床試験を展開する上で必須項目である。そこで大阪大学薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点の附属創薬センター薬物動態・安全性試験ユニットならびに大阪府立大学生命環境科学研究科獣医学専攻では、開発候補化合物を動物に投与することによる安全性を評価し、製薬企業などへ導出可能な有望な化合物シーズを見極める安全性試験を支援する。
1.安全性試験支援 支援依頼者から附属創薬センター薬物動態・安全性試験ユニットに送付された開発候補化合物を実験動物に投与した後、経時的採血、臓器重量測定、臓器のホルマリン固定を行う。血液を用いて血球細胞分析や血清の生化学的解析を行う。またホルマリン固定臓器を用いて3-5 μmの厚さのパラフィン包埋切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色後に、光学顕微鏡を用いて形態学的解析を行う。細胞の変性や壊死を毒性病理学的変化の指標とし、毒性発現の標的臓器・組織を同定する。 使用実験動物はマウスやラット、投与回数は単回あるいは連続(2週間まで)投与、投与方法は経口、皮下、静脈内などの対応を行う。 2.創薬支援利用施設、設備 大阪大学薬学研究科附属動物実験施設、多項目自動血球分析装置(XT-2000iV)、生化学自動分析装置(DRI-CHEM)、自動ミクロトーム、自動染色装置など
大阪大学薬学研究科の附属創薬センター(Drug Innovation Center: DiNC)薬物動態・安全性試験ユニット (Pharmacokinetics and Safety Studies Unit: PKSA)において、製薬会社出向、出身の薬物動態・安全性試験研究者や大阪大学薬学研究科教員が、開発候補化合物を実験動物へ投与、採血と臓器摘出を担当する。血球細胞分析は多項目自動血球分析装置で、血清の生化学的試験は生化学自動分析装置を用いて実施する。臓器はホルマリン固定後、大阪府立大学へと送付される。大阪府立大学では自動ミクロトームや自動染色装置を用いて病理組織切片の染色が行われ、獣医病理学・毒性病理学を専門とし、日本獣医病理認定資格JCVP、日本毒性病理認定資格JSTPを有する獣医師が安全性評価を担当する。またPKSAと製薬会社出向の創薬化学研究者が所属している構造展開ユニット(LEU)間では相互連携体制が構築されており、アカデミア創薬研究をシームレスに支援する体制が創薬サイエンス研究支援拠点では整えられている。 大阪大学大学院薬学研究科附属創薬センター薬物動態・安全性試験ユニットHP:http://www.phs.osaka-u.ac.jp/souyaku_kyoten/about/stc.html