薬物動態のin vivoイメージング解析支援
リード化合物の創製においてin vivo薬物動態解析は重要な情報を提供する。 現在薬物動態解析では、被検化合物を小動物に投与後、経時的に採血し、血中の被検化合物濃度を質量分析計等により解析することにより薬物動態パラメーターの算出を行っている。 一方、薬物動態の標的組織や臓器レベルでの解析は、血液を用いた解析では得られない薬効発現につながる被検化合物の動態情報を得ることができる。 本支援では、イメージング質量顕微鏡を用い、光学顕微鏡による組織・臓器レベルの情報と質量分析計によるMSイメージを融合させる解析技術により、 組織・臓器中の被検化合物や代謝物の分布解析を行い、薬効発現との関連性などこれまでには得られなかった情報の取得が可能になる。
クロルプロマジンを投与したマウスの小脳を用いて凍結組織切片を作製した。マトリックスとしてα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)を蒸着後、イメージング質量顕微鏡(iMScope)により分析した。またクロルプロマジンの代謝経路から、組織レベルでの代謝物も検出した。
大阪大学薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点附属創薬センター(Drug Innovation Center: DiNC)では、薬物動態・安全性試験ユニット (Pharmacokinetics and Safety Studies Unit: PKSA)において製薬会社出身の薬物動態・安全性試験研究者や大阪大学薬学研究科の研究者が、リード化合物の創製において重要となるin vivo薬物動態や安全性試験の支援を行っている。その支援においては被検化合物を実験動物へ投与し、採血した血中の血球細胞は多項目自動血球分析装置により、また血清は生化学自動分析装置による解析を実施している。さらに摘出臓器はホルマリン固定後、自動ミクロトームや自動染色装置を用いて病理組織切片の染色が行われる。それらの安全性評価における病理所見は、獣医病理学・毒性病理学を専門とし、日本獣医病理認定資格JCVP、日本毒性病理認定資格JSTPを有する獣医師が担当している。 大阪大学大学院薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点の全支援内容は下記HPから知ることができる:http://www.phs.osaka-u.ac.jp/souyaku_kyoten/about/