新規開発2ステップ法で高速にコンディショナルノックアウトマウス作製。ノックイン、ノックアウトマウス作製
新規開発2ステップ法で高速にコンディショナルノックアウトマウスを作製 1ステップ法(従来法)では、ゲノムの近接2箇所を切られたことによる染色体欠失が高頻度に起こりFloxマウスはほとんど得られない。 2ステップ法(新規法)では1ステップでloxPを挿入するのではなく、1箇所ずつ受精卵と2細胞期胚に2ステップに分けてloxPを挿入することにより染色体欠失を回避する。この方法により染色体欠失が減少し高効率にFloxマウスを得ることができる。 エレクトロポーレーション法で高速にノックアウトマウス、ノックアウトマウスを作製 エレクトロポーレーション法とCRISPR/Cas法を組み合わせて高速にノックアウトマウス、ノックインマウスの作製が可能。
高速コンディショナルノックアウトマウス法の開発 2ステップ法で高速にコンディショナルノックアウトマウスを作製する方法を開発した。この方法では受精卵と2細胞期に分けてexonの左右にloxPを挿入する。これにより、従来法において同時にloxPを挿入することによって起こっていた染色体欠失を回避し、高効率でFloxマウスを作製できる。またこの方法を用いて組織特異的Cre発現マウスの受精卵から直接Flox/Creマウスの作製にも成功した(Scientific Reports, 2017)。 エピゲノム疾患モデル動物の開発 遺伝子切断活性をなくしたCas9(dCas9)と、DNAの脱メチル化の最初の反応を起こす酵素(TET)を直結し、TETの活性を標的遺伝子にリクルートしたが、十分に発現を活性化できなかった。そこで、脱メチル化能力を向上させるため、(1)dCas9の端に短い目印のアミノ酸配列(GCN4)を複数個つないだものと(2)GCN4を認識して結合するミニ抗体にTETをつなげたものを同時に細胞に導入して新規複合体を構成させる方法を開発した。これにより特定の遺伝子に複数のTETが作用し、効率的に脱メチル化し遺伝子発現を十分に上昇させることができた。一方、標的の遺伝子以外ではまったく脱メチル化が見られず特異性が高いことがわかった(Nat. Biotech. 2016)。この技術をさらに応用発展させ個体レベルでエピゲノムだけを改変したエピゲノム疾患モデル動物を作成する。