G2-2 タンパク質の相互作用予測、相互作用部位予測

立体構造未知のタンパク質に対する、アミノ酸配列を入力とした相互作用予測および相互作用部位予測

[1] 支援担当者

[2] 支援技術の概要

立体構造未知のタンパク質に対して、アミノ酸配列のみを入力として、タンパク質が他の分子（タンパク質、核酸、糖、脂質、金属など）と相互作用するかどうか、相互作用する場合はどの部位で相互作用するかを、機械学習を用いて予測する。立体構造が既知の場合は、立体構造を元にしたリガンド結合部位（空間配置）予測を行う。

[3] 支援技術の利用例

• 構造がわからないタンパク質に対する機能予測（構造既知の場合はより高い精度で予測）
• タンパク質－タンパク質、タンパク質－リガンドのドッキングの前段階としての利用
• 計算結果と実験データとを比較しながら、手法やパラメータを調整し、精度の向上を図る
• 簡易版はWebで公開

[4] 支援担当者の研究概要

• 任意のリガンドの結合部位予測
  リガンド結合部位予測ツールを自動生成し、さらに学習パラメータを自動的に最適化。
  Komiyama et al. Bioinformatics, 32, 901-907 (2015).

• タンパク質－タンパク質相互作用予測
  ホモロジーと機械学習を統合した高精度の相互作用予測システムを開発中。また、チロシンキナーゼに特化し、ドメイン情報と機械学習を統合した予測システムを開発し、AUC値0.996を達成。
  Yarimizu, et al. Adv. Bioinformatics, 2015, 528097 (2015).
• Tail-anchorタンパク質の予測
  Tail-anchorタンパク質の膜貫通領域を含む配列パターンを分類し、HMMで学習、AUC値0.963を達成。
  Shigemitsu et al. BMC Bioinformatics, 17, 378 (2016).
• タンパク質構造をもとにしたリガンド結合部位（空間配置）予測
  エネルギー最小化と配列の保存性の両方を考慮
  Tsujikawa et al. J. Struct. Funct. Gemonics, 17, 39-49 (2016).

• 糖鎖結合部位の予測
  酸性糖と非酸性糖に分けて特徴抽出し、さらにそれらを統合した予測プログラムを構築。
  Banno et al. Comput. Biol. Chem. 66, 36-43 (2017).
• 脂質結合タンパク質の分類予測
  特徴抽出の手法について、プロファイルを拡張した新手法を提案し、lipid binding, lipid degradation, lipid metabolism, lipid synthesis, lipid transport, lipoproteinなどの分類を高精度（全体のAUC値0.98を達成）で予測。
  Ueki et al. Res. J. Life Sci. Bioinform. Pharm. Chem. Sci. 1, 223-236 (2016).
• 天然変性タンパク質のMoRFsの同定
  天然変性領域のアミノ酸配列からMoRFs（molecular recognition features）を同定するシステムを開発し、世界最高性能で予測。
  Fang, et al. J. Bioinform. Comput. Biol. 17, 1950004 (2019).
• その他の結合部位予測
  対象の分子に応じた特徴抽出を行い、タンパク質のDNA結合部位予測、金属結合部位予測などの手法を開発。