膜タンパク質に対する立体構造認識抗体を作製・提供し、X線結晶構造解析やクライオ電顕単粒子解析による構造研究を支援
<膜タンパク質の生産技術支援> 酵母を用いて安定化変異体を高速スクリーニングした後、有望コンストラクトを昆虫細胞で大量生産。 <立体構造認識抗体の生産技術支援> 膜タンパク質に対する立体構造認識抗体を作製し、それを用いてX線結晶構造解析やクライオ電顕単粒子解析による構造研究に応用するための技術・ノウハウを支援。
<膜タンパク質の生産技術支援> ・構造解析に適した膜タンパク質の安定化変異体の作製・大量生産 ・膜タンパク質/抗体複合体のX線結晶構造解析 <抗体の生産技術支援> ・膜タンパク質のX線結晶構造解析やクライオ電顕単粒子解析に用いる立体構造認識抗体の作製・大量生産 ・抗体医薬品/標的分子複合体の生産と高分解能構造解析
膜タンパク質は、生体膜を介したシグナル伝達・物質輸送・生体エネルギー産生など、細胞機能において基幹的な役割を担っており、創薬ターゲットとして重要な研究対象である。Gタンパク質共役受容体(GPCR)、トランスポーター、チャネル、内在性膜酵素といった膜タンパク質の立体構造をシステマティックに解明することにより、「構造に基づいた医薬品設計戦略」により創薬リード化合物を効率よく探索することが可能になると期待される。しかしながら、高分解能でヒト・哺乳類の膜タンパク質結晶構造を解明することは依然として難しいのが現状である。 私たちは膜タンパク質の大量生産、結晶化、X線回折データ測定等の技術を開発・高度化するとともに、その最新技術を用いて種々の膜タンパク質の立体構造を解析している。これまでに、ヒスタミンH1受容体、ムスカリン性アセチルコリンM2受容体、ヒトアデノシンA2a受容体、ヒトアディポネクチン受容体、ヒト赤血球膜イオン交換体(Band3)、ラットフルクトース輸送体(GLUT5)、創薬ターゲット膜酵素の細菌ホモログRce1 等の結晶構造解析を成功させている。
膜タンパク質にモノクローナル抗体フラグメントを結合させて膜外親水性表面を拡張すると結晶化が促進されることに着目し、膜タンパク質に対する立体構造認識抗体の作製を進めてきた。立体構造認識抗体は、X線結晶構造解析のみならず、クライオ電顕単粒子解析においてもfiducial markerとして有用であることを既にいくつかの例で実証している。また最近では、抗体医薬として大きなポテンシャルがある細胞外ドメイン構造認識抗体も取得できるようになっている。抗体医薬品/標的分子複合体を用いた構造解析では、免疫チェックポイント阻害剤Pembrolizumabとその標的分子PD-1の複合体の高分解能構造解析などにも成功している。