薬物代謝を考慮した候補化合物デザイン及び合成、代謝物の構造解析、代謝活性化機構の解析
所属 | ①慶應義塾大学 薬学部 | |
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氏名 | ①大江 知之 | |
AMED 事業 |
ユニット/領域名 課題名 |
ケミカルシーズ・リード 探索ユニット(構造展開領域) 実践創薬ナレッジとイノベーションで拓くリード創出(成功確率の高いリード創出を支援する高機能ADMET評価基盤の構築) |
代表機関 代表者 |
慶應義塾大学 大江 知之 |
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支援技術のキーワード | ADMET、代謝安定性、代謝物、代謝活性化、反応性代謝物 |
支援課題「パーキンソン病治療薬を目指したオキシカム誘導体の創製」に関して、これまでに既存薬メロキシカムを基盤に構造展開を行いテトラロン型リード化合物を見出した。しかし、このリード化合物の代謝安定性や化学安定性には問題があった。そこで、代謝物や化学的分解物の構造解析を行い、肝ミクロソームによる代謝物としてベンゼン環(A環)のヒドロキシ化体を、また、非酵素的に生じる酸化体としてB環のヒドロキシ化体をそれぞれ同定した。その結果に基づき、まずB環へのフッ素原子の導入やB環構造の変換を行い、in vitroの活性と同時に代謝安定性・化学安定性を評価し、選ばれた化合物については脳内移行性を含めた薬物動態やin vivoにおける薬効を評価し、in vivoにおいてもパーキンソン病症状を抑える有用な化合物を見出すことができた。一連の化合物については特許出願も行った。
このように、候補化合物の企業等への導出、臨床試験へのステップアップには生理活性のみではなく、候補化合物の体内動態、毒性の情報が必須であり、問題がある場合は早い段階で構造展開の中で解決していく必要がある。特に、代謝安定性の向上や代謝活性化の回避は優れた動態特性と安全性を確保する上で基本となる性質であるので、リード化合物を選択する段階で行っておくことが重要である。