高エネルギーX線 (波長0.6~0.34Å)を用いた超高分解能構造解析、この領域に吸収端を持つ原子の位置の特定やそれを用いた構造決定を支援。
SPring-8 BL41XUは20~36keVの高エネルギーX線 (0.6~0.34Å)を用いた回折データ測定が可能な国内唯一のタンパク質結晶解析ビームラインである。分解能が0.8Åを超えるような超高分解能構造解析による水素原子や電子状態の可視化、高エネルギー領域に吸収端を持つI、Xe、Cd、Cs等の原子位置の特定や及びそれを用いた構造決定を行うことができる。そのために高エネルギーX線に特化した回折計を実験ハッチ1に整備している。一方、波長0.7~1.9ÅのX線を用いた実験(通常モード)は実験ハッチ2で行われ、主として高難度試料の構造解析に使用されている。
1) 発光タンパク質GFPの構造解析を0.78Å分解能で行い、発色団周辺の水素の位置・水素結合ネットワークおよび電子密度分布を精密に決定することで発光機構を解明。
2) Csが結合することが予想されていたタンパク質の結晶から、K吸収端前後の波長を用いて回折データ測定を測定。吸収端前後で異常分散差フーリエマップのピークが出現・消失すること確認し、Cs原子の位置を決定に成功した。
高エネルギーX線を用いてタンパク質結晶の回折データ測定を行うために、光学系や回折計、試料マウント方法などの開発を行っている。 高エネルギーX線用光学系・回折計の整備 10~50μmに集光したX線を用いるため、X線レンズを用いた光学系を構築した。また、高エネルギモードの利用頻度の増加に備えるため、通常モードとの切り替えを短時間で行うための新設計の回折計の構築も進めた。(長谷川) 新しいXe誘導体調整方法の開発 ガラスキャピラリー内でXeガス高圧状態のまま凍結する装置を開発し、高エネルギーモードでのXe誘導体のMAD/SAD測定環境を構築した。(水野)