がん臨床検体由来初代培養細胞の3次元培養系を用いた化合物の評価支援
がん細胞を用いた創薬研究では、従来のがん細胞株を用いた評価だけではなく、がん臨床検体を用いて作製された初代培養細胞(patient-derived cells: PDC)を用いた評価の重要性が示されている。さらにより生理的な状態として2次元培養ではなく3次元培養系の構築とその創薬評価系への応用が期待されている。本支援では、脳腫瘍、肺がん、大腸がん等の術後組織から樹立されたPDC初代培養細胞の3次元培養系を用い、低分子化合物の細胞増殖に対する評価を行う。またこれらPDCの遺伝子発現情報も利用して、標的分子のmRNA発現に基づいた化合物の評価にも対応する。 また大阪大学薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点の附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンター(Compound Library Screening Center: LiSC)では高度画像解析システムが設置されている。このシステムを利用することにより、PDC 3次元培養により形成されたスフェロイドに対する化合物の作用を画像解析により、より高度に評価可能とする支援も行う。
がん術後検体から樹立された脳腫瘍、肺がん、大腸がん等の3次元培養PDCを用いて、化合物添加による細胞増殖性を評価する。
化合物のPDCスフェロイドに対する作用を、オールインワン蛍光顕微鏡(BZ-X800)やハイスループット細胞機能探索システム(CellVoyager CV8000)を用いた画像解析により定量評価する。
大阪大学創薬サイエンス研究支援拠点は、大阪大学薬学研究科附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンタ―(Compound Library Screening center: LiSC)と附属創薬センター(Drug innovation Center: DiNC)から構成されており、アカデミア等の創薬研究をシームレスに支援する体制を構築している。本支援で使用するPDCはLiSCに所属する研究者が3次元培養系として樹立したものである。またこのPDCを用いた化合物評価と高度画像解析もLiSCに所属する専任研究者が支援担当する。 大阪大学大学院薬学研究科附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンタ―HP:http://www.phs.osaka-u.ac.jp/souyaku_kyoten/about/clsc.html